今日、突然お店に入ってきた男性。
年齢は60代位で日焼けしてて身長175cm位、太いもみあげでくわえタバコ・・・。
一瞬、何かいちゃもんをつけられるのかな?!って感じだった。
身構える私。
宿毛市内には散髪屋さんが沢山あるので、美容室であるうちに飛び込みの男性のお客様はかなり珍しい。
しかも、初老の男性は皆無。
なので、お客様だとは思わずに
「な、何か・・?」
と尋ねた。すると
「暑いので短く切ってもらいたいんだけど。」
と言う。
え??
お客さん??
短く??
その男性は坊主に近い短髪でてっぺんは禿げててもみあげがぶっとい、まるで「悪役商会」の人のようだった。
見た感じ、全く暑苦しくないヘアースタイル。
クールビズ。
「い、いつもバリカンでカットされてるんですか?」
と聞くと
「そうです。」
と答えた。
でもうちはバリカンを使わないので・・とやんわりお断りをしてご近所の床屋さんを紹介しようと思ったら(←かなりビビってる私)
「じゃ、あなたがハサミで切れる一番短い長さにカットして下さい。」
と言われた。
ガーン・・・。
うちで切るの??
マジで??
恐いよ・・。
しかも・・・耳から毛がボーボーにはえてるんだもん・・・。
頭の毛は白髪で真っ白なのに、ボーボーの耳毛は真っ黒。
ホントにボーボーだった。
ここにイラストが描けないのが残念なくらいだ。
(耳の中から噴射してるような勢いがあった・・)
でも、お客様ならしょうがない。
恐いけど頑張ってみるか。
お昼間だし、何かいちゃもんつけられてしばきあげられたとしても、きっと誰かは助けに来てくれるはず・・。
ね、お向かいのアンソニー・・・!
で、カットを始めた。
恐いと思っていたけど、終止穏やかな口調の初老の男性。
私もすぐに打ち解け色々おしゃべりを始めた。
男性は関東から来ていて、一人で四国八十八ケ所を歩いて廻っているという。
「なんにもない道を一人で歩いてて、辛くないですか?」
と尋ねたら、
「何にもなくはないですよ。花や緑が沢山あってその中を歩いてると自然と一体化する感じですよ。色んな鳥達もいるしね。」
と穏やかに答えた。
そして失礼ながら動機を尋ねたら、
「歩いて八十八ケ所廻るってどういう感じなんだろう・・とただ単純な動機なんですよ。」
と言った。
ふーん・・・。
八十八ケ所ね・・。
しかも歩いてね・・。
ここ宿毛はお遍路さんの通り道。
先日TV番組で「加藤大」君も通り過ぎて行ったし、ショーケン(萩原健一)も以前廻っていたという。
でも私は今まで全く考えた事もなかった。
しかも歩いてなんて到底無理・・!!
お遍路さんって人それぞれ色んな思いを胸に廻られている方が多い。
しかしこの男性は、「歩いて廻るとどうなるんだろう」という動機で始められた。
1200kmの道のりを色んな景色を眺めながら廻るという。
ちょっといいな・・。
と思った。
でもその男性は
「若いうちは頑張って働きなさい。」
と笑顔で言った。
そうね。
今はまだ八十八ケ所廻ってみたい気分でもないけど、もっと年を重ねて時間にゆとりができたら一度廻ってみよう。
車で・・・。
そういえば、生前父が母と
「おじいちゃんがおめめつぶったら(死んじゃったら)、一緒にお四国参りに行こうね。」
と言っていたが、そう言ってた父もおめめをつぶってしまった。
ダメじゃん。
そうこうしてるうちにハサミでおもいっきり短くして、おまけに耳毛もカットした。
耳毛のカットは生まれて初めてだった。
意外に入り組んでる所からも生えてて、少々手こずってしまった。(笑)
人はやっぱり話してみないとわからないものだな〜。
しかしいい人でよかった〜。
と少し穏やかな気分なった、今日の午後の出来事。